まず種を選ぼう。

僕は先月仕事を辞めた。3年3ヶ月働いたその職場は、僕にはちょっとハード過ぎた。複雑な人間関係に、重たい仕事。僕はいつしか感動することを忘れ、楽しいという気持ちまで忘れてしまっていた。今まで自分の中で大切にしてきたものが、大切にできなくなっていた。
そんな時期、久しぶりに実家に帰省すると、庭に立派な家庭菜園ができていた。季節の花々から野菜類、果てはみかんの木まで、植えてあったときには驚いた。なぜ、そんなにはまるのか母に尋ねると、母は当たり前のように言った。
「だって、花が咲いたり実がなるのよ。早く、花が咲いて、実がなることが見つけられるといいね」
このままでは何も実るどころか、花すら咲かずに枯れてしまう。母の言葉を聞いてそう思った僕は、反射的に辞表を提出していた。
この不況の時代に馬鹿な選択かもしれない。でもいいのだ。僕が僕らしく、何か花を咲かせ、実を結べればそれでいいのだから。そのためにはまず、種をまこう。種をまく前に、まず種を選ぼう。
僕の人生はまだ、種選びからはじまったばかり。

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